増村保造の映画はアクションのキレが良い。
リズム感もめちゃくちゃ良い。
気持ちよくてクセになる。
中期以降の作品はキレは良いのだが粘着性が増しているので、ハマる人はハマるが好き嫌いも出てくるかなという気が。
キレとリズム感ならやはり初期作品。
「くちづけ」「巨人と玩具」「闇を横切れ」(これ傑作!)、そしてこの「青空娘」。
これを観てしまうと、たいていの映画はダルくてノロい感じがするだろう。
弾ける若尾文子。若い。フォーエバーヤング!
こんな軽い増村保造の映画は、ずいぶん前に文芸座のオールナイトで観た『巨人と玩具』以来です。っていうか、これは軽い上に何とも晴々と清々しく、明るいんですね。60年代後半から70年代初頭の増村作品、『大悪党』『セックス・チェック第二の性』『積木の箱』『濡れた二人』『盲獣』『女体(じょたい)』『でんきくらげ』『しびれくらげ』『遊び』あたりに熱狂し、今でも魅了され続け、実は日本の映画監督では増村保造が一番好きな私にとって、本当に『青空娘』は新鮮そのものでした。
『青空娘』って、デビュー作の『くちづけ』と同じ1957年に撮られたんですねえ。もう、ほとんどハワード・ホークスあたりのスクリューボール・コメディーかと思うぐらいのセリフと人物の動き、そしてカメラ、その演出のフットワークの軽さ。いやはや、参りましたね。キャストがまたね、主役の若尾文子は勿論のこと、脇役の人たちがいいんですよねえ。あの先生がいるでしょう。あの先生の東中野のアパートに彼女ヅラして上がりこんで、寝て待ってる女がいて。その女が、せっかく訪ねてきた若尾文子を追い出しちゃって。そんで、先生が帰ってきたら、勝手に寝てて。先生が追い出そうと力づくで起こそうとすると、勢い余って女が「痛い!」とか言って倒れ込んじゃって。「あ、すまん」とか先生が抱き起こそうとすると、実は全然、痛がってなくて、単に先生に抱きつくチャンスを狙ってただけで。あのへんの飄々とした面白さ、いいんですよねえ。増村さんが、コメディーも十ニ分に撮れる監督だったんだと改めて思い知らされました。
観ている方が「力まずに」観れる増村さんの映画を何だか初めて観たような気がしまして、何とも嬉しかったんですよね。清々しく、楽しく、明るく突き抜けてるんですね。いやーホントによかったです。
実は『青空娘』を観る前にまだ観た事がなかった『アンナ・マグダレーナ・バッハの日記』を15分ぐらい観てたんですが、ちょっと夜中に観るのはヘビー(映画的に)だったんで、中断して『青空娘』を観たんですね。『アンナ・マグダレーナ・バッハの日記』は、もうちょっと疲れてなくて、余裕があるときに改めて観ようと思ってますが。増村さんの映画は(特に60年代後半から70年代初頭の作品は)、夜中にこそふさわしいというか、夜中でも眠くならないんですよねえ。『青空娘』は、逆にその軽さゆえに眠くならないんですが。