面白い映画教えます

害虫

攻めの映画

これはすごい攻めの映画ではないだろうか。

宮崎あおい演じる主人公の少女の気分や感情など、それ自体描くことが非常に困難な“心象風景”を主役に据えて撮った映画だと思う。
これを撮るのは相当難しい。
セリフで言わせてもしょうがないわけだから。
また、なにか象徴的な“ブツ”に、その心象風景を託すという手法もアホみたいなもので、封印するしかない。この作品の中では、そういう象徴的な“ブツ”っぽいものが全く登場しないわけではない。ビー玉とかリンゴとか、一瞬アレ?そうなのか?と思いそうになるが、象徴臭さが出る前に見事に断ち切っていた。

一見ごく普通な出来事の連鎖で進めながら、気分、感情といった目には見えないものを映画全体に語らせ、じわじわ滲み出させる作品なわけで、仮にそれに成功しても、その心象風景自体に興味を持てない人が多かったら、「面白くない」で片付けられちゃう可能性が高い。
そう考えると、苦労が多い割には報われない危険性が高い。だけど塩田明彦監督はあえて(と言いたい)そこにチャレンジしたわけで、これはものすごい攻めの姿勢の映画だと感じた。

親切にしてくれる友達の家に即席火炎瓶投げて燃やすところで、宮崎あおいの気分や感情が爆発してカタルシス感じるという展開かと思ったら、全く違った。
彼女が抱えているのはそんなもので解消されてしまうような気分や感情ではなかったのだ。
そこで突き放された感じがした。そこまでやるのか・・・というような。

それから、この映画、終わらせる方法が無い気がしてドキドキした。
伊勢谷友介の車で連れてかれるとき、田辺誠一とすれ違う。それに彼女は気づいて、助手席で振り返る。田辺の方を見る。
そのときの宮崎あおいの顔が効いていた。一瞬なのだが、あ、これでこの映画エンドマーク出せるぞとちょっとホッとした。
一見、ラフに撮ったナチュラル風吹かしてる映画に見えるけど、全然違うと思う。これは考えに考え抜かれた映画だ。

自分は主人公の心象風景に興味持てない人種だが、それでもこの映画はスリリングだった。

(オイカワ)