70年代から80年代初頭にかけてのマーティン・スコセッシの仕事が、あとに続く若手映画作家たちに与えた影響の大きさは考えてた以上のものがあるのかも、と気付いたのは90年代後半になってからだった。
ポール・トーマス・アンダーソンやジェームズ・グレイの作品を観てそれを痛感した。
中でも一番大きな影響は、リアルさの取り扱い方だと思う。
90年制作の「グッドフェローズ」、後々への影響力という点では、初期作品に及ばないだろう。
だが、「ミーン・ストリート」から「レイジング・ブル」くらいまでのスコセッシが繰り返し追求した“リアルさ”が、ここではきわめて洗練された形で達成されている。
これ以上洗練されたらたぶんリアルでは無くなってしまう。
スコセッシがギリギリの線でかろうじてリアルさに踏みとどまった最後の作品が、おそらく、この作品だと思う。
忘れられないのは、主人公が逮捕される日のパート。あそこは最高。あのパートだけ抜き出して何度でも観たいくらい。
BGMがジョージ・ハリスンの「ホワット・イズ・ライフ」というのも参った。
あと、レイ・リオッタの顔&佇まいのすさみ方。すげえインパクト。