セルジオ・レオーネの『夕陽のギャングたち』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』、ベルナルド・ベルトルッチの『1900年』、これらの、いわゆる大河ドラマはエンニオ・モリコーネの音楽抜きには成立しなかっただろう。
あのスケール感、昂揚感、そして下世話と紙一重の甘さ。
大河ドラマの必須条件を全て満たした音楽だ。
だから、NHKが大河ドラマ『武蔵』の音楽をエンニオ・モリコーネに依頼したというのは、かなり面白い。狙いがすごくよくわかる。
しかし、実際に見てみると、というより聴いてみると、モリコーネ自身が過去に書いたスコア、特に『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』と『アンタッチャブル』(監督ブライアン・デ・パルマ)からの著しい再利用のみが印象に残る。
スコアの比較をきっちりできるような素養はぼくには無いけれど、これは聴けば誰でもわかると思う。
自らの作品を自ら再利用してるのだから、パクリじゃないけれど、いくらなんでもこれは手抜きじゃないだろうか。
ぼく自身、モリコーネの大ファンで、上記の作品もさることながら、マウロ・ボロニーニ監督作品、それからオッタビオ・ピッコロ出演の『家庭教師』の音楽には特にはまった。
だからモリコーネの音楽なら、たいがいは(というよりほとんど)素晴らしい!と思ってしまう人間だが、この『武蔵』の音楽はいかがなものか。
いくら巨匠相手とはいえ、NHKもダメ出しをしないとさすがにマズイんじゃないだろうか。