面白い映画教えます

▼マーク・レスターの通勤鑑賞日記
殺しの烙印

6月30日(金)

時間の省略など、大胆な手法で、普通っぽくしないのが鈴木清順流というところかな。今後このニュアンスが全体にどのように影響を及ぼすかが興味のあるところだ、なぜなら、この映画が原因で鈴木清順は永らく監督業から干されることになるんだよね。
確かにひねっていて楽しい。
でも物語を語ることをスキップしてしまっているように思えた。感覚的にこんな表現方法は興味深いことはもちろんだが、映画を貫くストーリーはしっかりと伝えてほしいなと、ちょっと警告を発してしまいました。
宍戸錠は案外渋くて、主役でも持ちこたえられそうだな。
鈴木の世界を宍戸がどのように振舞うか明日以降注目したい。

7月4日(火)

いやー、こまったな、殺し屋のハードボイルドなお話しを、こだわりの語り口で見せてくれる映画かな? なんて勝手に考えておりました。真理アンヌが登場してきたあたりから、ATGの観念映画っぽくなってまいりまして、ちょっと置いてけぼりを食らっておりましたところ、いきなりの上映施設に舞台が移っての展開。スクリーンに真理アンヌのお顔が映し出され、それに突進していく宍戸錠。おっと!2作連続(前作は「ムーラン・ルージュ」)の 【「現実」と「虚構」の融合】に涙を流してしまうのか?! と思った瞬間に、降車駅に滑り込んだのでした。希望を明日に託して本日の車内鑑賞は終了、ハードボイルドからATGへ、そして明日はどうなるのでしょうか? 楽しみであり、ちょっと怖い。

7月6日(木)

「これがNo.1のやり口だ。敵をじらし、疲れさせ、殺す。」

これがこの映画のやり口だったんだー!!

これは殺し屋のランキング抗争の映画だったのだ。宍戸は殺し屋ランキングNo.3の男。この男を利用してランキングNo.1が目障りなNo.4とNo.2を消し、最後はNo.3である宍戸の命を狙う というお話であった。

No.1は彼の「変なコダワリ」のヤリ口にのっとって、宍戸とプチ同棲?までをして「敵をじらし、疲れさせ、殺す。」ことを実行しようとするのだ。

そんなこの映画のキーワードは「変なコダワリ」。それを特徴づけるシーンが埠頭での決闘シーンだ。宍戸が自動車の下に潜り込み、ウィンチを車の先頭に取り付ける、ロープは進行方向にいる敵に向かって伸びて、途中に滑車をかまして、また自動車に向かってUターン。先端のロープを宍戸が力一杯引っ張ると、な、なんと、滑車・ロープ・ウィンチの作用で、自動車が敵に向かって前進して行くではないか!  宍戸はロープを引っ張りながら、ホフク前進をする、自動車の下に隠れているので、敵からの銃弾を避けながら、ライフルを撃ちながら、確実に敵に接近していくのだ。何という映画的興奮!!

この映画は「変なコダワリで形成されたムダ」が一杯に散りばめられている特権的な映画であると結論づけたい。いや、この映画自体が「変なコダワリで形成されたムダ」そのものではないかと、そんな稀有な存在ではないかと思えてくる。この「ムダ」を快く楽しめるか否かが、鈴木清順を解雇するか否かのボーダーラインだったのだろう。当時の日活上層部の判断は、歴史が雄弁に語っている。
僕なら、ドキドキしながらも続投を許していたかな。いや、そんな勇気は無かったろうな、きっと........。